合気道と姿勢についてブログします。

合気道における「良い姿勢」とは何か

そもそも合気道の良い姿勢っていうと、よく聞かれそうなところでは。

頭の先から真っすぐ気が通った状態が良い姿勢とされています。

頭の先から真っすぐ気が通った状態???

と書いている人もいますが、それはいったいどんな状態を言うのでしょうか???

背筋や背中が真っすぐにした姿勢を言うのでしょうか?

追々説明させて頂きます。

ちなみに世間一般に言われている、気を付けの姿勢、背中や背筋をまっすぐにした姿勢が良いとされていますが間違いです。

それはあの真っすぐな姿勢の由来や起源をさかのぼると理解できます。

間違った姿勢の由来|背筋を伸ばすのはなぜNGか

  1. 明治維新後、日本は近代国家を目指して軍事制度を西洋化する必要に迫られた。
  2. フランス式を最初に導入したが、1870年代後半〜1880年代にかけてドイツ(プロイセン)式へと転換。
  3. ドイツ陸軍士官メッケル少佐(Jakob Meckel)を1885年に招聘(日本陸軍士官学校で指導)

あの一般的に背筋を伸ばした良い姿勢っていうのは、 ドイツから日本に教えられた、軍隊式の姿勢が由来です。

つまり、生理学や解剖学など人間の身体の造りで考えられたのではなく、軍隊・兵士を管理・統率する時に良い姿勢なのです。

合気道における良い姿勢が軍隊式の良い姿勢なわけはありませんので、背筋を伸ばすのが良い姿勢というは間違いという事がお分かりいただけたかもしれません。

ちなみに、 見た目に美しい姿勢も良い姿勢と一般的に言われていますが、それはあくまで見た目が良いだけで、武道的や身体、つまり生理学や解剖学的に良い姿勢ではありません。

勘違いの良い姿勢

合気道 姿勢で検索すると、姿勢についてブログをかいている方がいました。

その方が良い姿勢の例を写真で紹介していましたが、残念ながら間違えていました。

一見すると猫背でもなく、リラックスしていて良い姿勢に見えますが、本当に良い姿勢とは言えません。

重心は偏って居着いている状態を、良い姿勢という風に勘違いされているのが見て取れました。

なぜ、こういう勘違いが起きるかというと、自分でしっくりきて違和感がない・慣れている姿勢、イメージした良い姿勢が良い状態だと錯覚するからです。

いつも自然としている姿勢や、ちょっと考えてこれかな?と思った姿勢が良い姿勢とは限らないのです。

何も確認せず、良い姿勢という意見は、逆を言えば根拠のない主観、思い込みの域を出ない、一意見どまりという事です。

良い姿勢と思ったら、何がどう良いのか検証し、実証できるなら良い姿勢と言えます。

残念ながら、私も本当に良い姿勢をまた知らなかった時代があり、背中や背筋をまっすぐ伸ばした姿勢が良いのだと勘違いしたまま生きていました。

背筋を伸ばすと体が力む理由

合気道の稽古をしてみると背中や背筋を伸ばすのが良い姿勢というのは間違いというのが分かります。

猫背や、手元を見ながら技を掛ける背中が曲がった姿勢よりは、まだマシですが、背筋を伸ばすと上半身は力み、下半身まで力みが伝わります。

そして肩の可動域も制限が掛かり動きが鈍るので、とても自然体で動くことはできません。

実際に確かめてみることで、正解か不正解化が分かりました。

本当に良い姿勢の条件と理由

良い姿勢とは重心が前後左右に偏らず、 体の中に偏りもなく、居着かない状態と言えます。

なぜこれが良い姿勢かというと、 理由はいたって単純、合気道をしてみればすぐわかります。

  • 人間は脱力した状態が一番力を出せる
  • 崩すしや、技を掛ける際に相手より自分の方が安定する
  • 四肢につまりがなく自由に動ける

この他にも姿勢を良くする利点はあるかと思いますけど、基本的なことはこのぐらいではないでしょうか。

逆を言えば、姿勢が悪いとどうなるかというと、

  • バランスが悪く、重心が不安定、つまり相手より崩れている
  • 力みが生まれ、力んだ分だけ自分に力がこもり、相手に力が到達しない
  • 力みがあるというのは、起りが起きるから相手に初動を察知される
  • 身体のつまりが起きやすく、楽に自由に動きにくい

つまり姿勢が良い状態というのは、居着きにくく、重心が安定し、身体が無理なく動けるのです。

自分の姿勢を見極める検査法と稽古

良い姿勢って、どう判別するかっていうと、 肩幅かもしくは半身で立った状態で、 相手に両手取りで思いっきり掴んでもらい、 上か下に楽な状態で、相手も抵抗できずに崩せたら成功です。

これが手軽にできる簡単な確認方法です。

あとはお互い片肩に立って両手取りをしてもらって、天地投げをする。

※背筋を使って引き上げる方法とは別

この時に 自分の立ち位置はそのままで、相手が自分の右か左に引き込まれる、もしくは吸い込まれるように崩れたら成功です。

相手が自分に絡みついてくるような崩し方を纏わせると言ったそうです。

これは口でいうのは簡単だけど、非常に難しい技術です。

良くある少し崩されたら、抵抗する力を弱めて、わざと受け身を取る、忖度やらせの稽古をするわけではありません。

本気でその場でこらえてもらっている状態で技を掛けて崩すのです。

まとめ 姿勢が変われば合気道は変わる

こういう基本的な姿勢のメリットとデメリットというものがわからないと、なんで良い姿勢をとらなきゃいけないのかなという疑問も生まれないので、 誰かに指摘されても心に響かない。

誰かに「いい姿勢をしなさい」と言われても、その理由や意味が腑に落ちていなければ、結局は行動に繋がらず、「ふーん」で終わってしまう。

そうすると、ずっと自分では気づけないまま、間違った姿勢で稽古し続けてしまうのです。

そしてその結果、自分で合気道の上達を止めてしまう。

実際に、自分が「良い姿勢」だと思っていたものが、実は逆効果という事もあり得ます。

でも、本当に上手に姿勢が整えば、力は自然に伝わり、崩しや技も決まりやすくなります。

逆に、姿勢が間違っていれば、いくら技を繰り返しても、何かがうまくいかないまま、ずっとモヤモヤが残ります。

だからこそ、姿勢は基本であり、大切なんだぜって、姿勢の大事さに気が付けていなかった何年も前の自分に言ってやりたいです汗