武道の達人になるには脱力が必須|合気歴〇年が語る極意?「抜き」

武道の達人になるには「脱力」が基本であり始め

結論からいうと武道の達人になるためには脱力が必要という事が分かりました。

この脱力ができないと、武道の体の使い方ではなく、ただのスポーツ的な筋力勝負になってしまいました。

いくら稽古を重ねても、脱力を身につけなければ、達人のような技は一生できないというのも容易に想像がつきました。

脱力とは何か?誤解されやすいポイント

脱力と言っても、だらしなく手をブランとさせたり、猫背になったり、ただ力を抜いた状態とは違います。

一般の人は、脱力をすると、力が抜けてしまって、また脱力をやめると通常の力の出し方をしてしまいます。

しかし武術的な脱力は、自分に力や抵抗は感じないけれど、相手には力が伝わりやすい状態を指します。

今回のお話で言うところの武術的な力の抜き方が出来てるかです。

この脱力の仕方を武術的な呼び方をすると「抜き」と言うようです。

身体の意図とした部位を意識して抜くのです。

抜きとは?:力の出し方を意識で変える体術

この抜きが出来るようになると、通常の筋力に頼った力の出し方をするよりも、圧倒的に少ない力で相手を制することが出来るようになりました。

同じ力を出したり使ったとしても自分は力んだり力を出してる感じはしないけど、相手は大きな力を感じる力の出し方と言えます。

なので、こちらは少ない力でも相手は大きく崩れるという現象が起きるのです。

この現象を意図的に起こすための基本的な体の使い方、体術が抜きです。

達人の共通点:脱力ができている人たち

この脱力が出来るようになると、養神館の始祖塩田剛三先生や合気会の山口清吾先生や遠藤征四郎先生、大東流合気柔術六方会の岡本正剛先生(順不同)のような事が、あなたも出来るようになる近道になります。

合気道に限らず、空手や柔道、少林寺拳法など、その道の達人と言われる方々の武道動画を見ていて思うのは、皆さん共通点して脱力しているのです。

脱力が基本となり、その先にある上位互換を合気だとか柔(やわら)、腰回し、所謂柔よく剛をせいする世界があるのです。

かなり前の話、合同稽古で遠藤征四郎先生に手招きされて、ここぞとばかりに両手取りで思いっきり体重を乗せて掴みかかった瞬間でした。

私が掴みかかった先生の両手が数センチ上に動いたかと思うと、ガクンというかフワっというか良く分からない感覚に陥り、先生の足元に真っ逆さまに頭から投げられるというか落っことされました。

焦って見上げると、私を見下ろされている先生に、顔だけは覚えられていたので、 「あれ?君受け身取れるんだね」と言われたのを今でも覚えています。

何の力も抵抗感も感じることなく、ただ吹っ飛ばされてしまうという魔訶不識で大変貴重な経験をさせて頂きました。

何か不思議な事をしているのだけは理解できました。

実体験:脱力は誰でもできるわけではない

脱力をすればするほど力が上手く相手に伝わるようになって、相手を楽に動かせるようになります。

やり方は全ての関節の力を上手に抜くだけです。

力を抜くと、普段とは違う力の使い方を知ることになります。

口でいうのは簡単ですが、実際にやってみてと言ってできたすぐに人はいません。

かつて養神館の内弟子から、自分で道場を開いた先生と一緒に稽古をしたことがありますが、その方も全く出来ていませんでした。

むしろ全く逆の事、つまりガチガチに体を固めて、抜きや合気とは対極でしたので、自分がその先生に脱力のコツを教えたほどです。

20年以上稽古をしている方でも、脱力などの身体の使い方を覚えるのは難しいのです。

なぜ脱力できないのか?

答えは簡単です。

普段力を使う、入れる、力むことはしていますが、意識して力を抜くことはしていなからです。

つまり、力を抜くことに成れていないから、文字通り上手く脱力できないだけなのです。

つまり脱力するのが下手という事、じゃあ日頃練習すれば、脱力が上手くなるという事です。

脱力のやり方、体得方法

普段、私たちは力を入れる稽古しかしていません。

というか自分の体に負荷化がかかると、自然に無意識に力んでしまいます。

この時に意識的に力まずに対応しようとするのです。

これが脱力を会得する方法です。

でも普段は負荷がかかった時に、脱力なんてしていないので、いきなり上手くできません。

なぜなら脱力するって簡単なことではないからです。

じゃあどうしたらいいかというと、一人で力を抜く練習をするのです。

一人で力を抜く努力をすると、上手に力を抜けるようになる、つまり脱力が上手くなります。

そうすると脱力したまま、力まずに力を出せるようになるのです。

これが、脱力の正体です。

脱力できるとどうなるの?何が変わるの?

脱力したまま、力を出せるようになるとどうなるかというと、相手に上手に自分の力が伝わるようになります。

すると今まで行っていたような力任せの技に違和感を覚えて、より少ない力、無理のない動きを求めるようになります。

すると少ない力で相手が大きく崩れたり技が綺麗に決まるようになります。

覚えると、一般的な筋力やスピード、タイミングに頼る稽古から、技や体術の質を上げるような稽古に変わる利点があります。

  • 脱力が出来るようになると自分より体重の重い大きい相手でも、普通より楽に崩せるようになります。
  • 脱力しない時よりも楽に相手に技が出来るようになります。
  • 合気道の不思議な部分に近づけて、合気道がもっと楽しく稽古できます。

脱力は今までと違う感覚を味わえて稽古が楽しくなるので、とってもおすすめです。