合気道の稽古で「崩し」を意識している人は少ない
合気道をしている人を見ていて思うのは、崩しを意識している人が稀という事です。
崩れていない相手に対して、上手く技を掛けようとするから技が上手くかからないというのは自分でも歯がゆい。
この理屈を知らないで合気道の稽古をしている人もいるかもしれません。
崩しはどんな格闘技にも存在する
大前提として、どんな技も崩しが必要になります。
合気道や柔道のように掴んで技をかける武道だけとは限りません。
ボクシング、キックボクシング、空手、ムエタイなど蹴る殴るといった打撃技の格闘技でも崩しはあります。
打撃でも構えている相手にいきなり、ストレートを打っても当たりません。
攻撃をガードされるか、避けられるか、最悪カウンターで反撃が待っています。
打撃の崩しはフェイントで、目線、立つ位置、パンチや蹴りを散らしたりと、瞬間的に混乱させたり騙したりと攻撃の組み立てがあります。
崩しが起きるのはほんの一瞬です。
その一瞬のスキをついて攻撃をクリーンヒットさせるのです。
打撃の崩しと組技の崩しの違いとは
組技に話を戻すと、柔道の試合を目にしたことがあるかもしれませんが、一瞬で投げ技を決める場面を見たことがあるかと思います。
投げが決まる前には必ず「崩し」の動作が入っています。
つまり、相手が安定している状態から不安定にされているのです。
とくに足技にそれがよく表れています。
足払いがうまく決まると人はなぜ浮くのか
足払いをするときに崩しが上手く決まっていると、人の体がその場で腰の高さまで跳ね上がるのです。
逆に崩しができていないと、足払いをしてもただ、足を蹴っているだけになり、相手はびくともしません。
これと同じで、合気道にも崩しが存在します。
合気道の稽古に見られる「崩しのない動き」
でもよくある合気道の稽古風景をみていると、方手取りの場合
- なんとなく片手を差し出して
- 相手が自分の片手を掴んでくるのをその場で待って
- 掴まれたら技をかけはじめる
こんな感じで稽古をしている人が多いのではないでしょうか。
合気道における「崩し」の段階と考え方
実際に崩しを意識すると
- 手を出す 自分の中心線を守る、もしくは自分の強い位置に片手を出す
- 位置取り 攻撃をさばく、
- 崩す 触れた相手がバランスを崩す、術を使う
といった技に入る前の段階、崩しの過程があります。
それはもう知っていると思う方もおられるでしょう。
しかし、人がどうすれば崩れる、自分は崩し方を理解している、または体現できる人はいるのでしょうか?
やっぱり好きな捌きや崩しはありますが、全てバランスよく上手にというのは、難しくてまだできません。
この崩しという術をどうしたらうまくできるようになるのか、この課題をクリアすれば、技はもっと上手く掛かるようになるのでしょう。
技をかけるための崩しの分解
自分も勉強の身なので、理解の範疇での説明になることをご了承ください。
- 抜き 触れた相手に反射が起きない
- 遠山の目付 相手との意識の衝突が減る・消える
- 体軸 重心が安定し、有利な状態を作れる
- 半身 体軸が生まれて効率よく力を使える
- 間合い 意識の衝突や体使いにつまりを出さない
- 姿勢 上記の術を高い再現性で行うためや基本
- 浮き身 相手の重心が不安定になる
といった意識使い・体使いを用いて相手を崩します。
形に表せられるものではないので、正確にできているかはわかりませんが、個別に実践して検証しても、フィジカルに頼った時とは明らかに異なり、楽に相手が崩れるので、全くできていない、効果がないというわけではないはずです。
上記の術は相互に関係していたり、同じような効果を出すなど、まだよくわからない部分もあります。
一貫していえることは、相手より有利な状態を自分が意識的に作るという事で、相手が崩れやすくなり技もかかりやすくなるというのは理解できました。
技が上手くできない方は、崩しを意識してみてもいと思います。
最初は強引に力任せの崩しでも、後からコツがわかり上達していうちに、力の抜き加減や効率の良い崩し方を発見できるかもしれません。