Youtubeで合気道を見ていたら、○○伝という大東流合気柔術の動画があってみてみると、いつも僕が気になっている九州で大東流合気柔術を教えていらっしゃる武門会本部総師範の大隈先生という方の技と似ている大東流の先生を見つけました。

調べてみると、そのYoutubeに出ていた先生は、うちの家の近くで教えていらっしゃることが分かり、すぐに予約をして見学に行きました。

見学にいくと気さくにお話しして頂いてとても好印象を受けました。

純粋に合気道が好きで楽しくて稽古されているのがお話の中から伝わりました。

稽古が始まるとお弟子さんと師範でお互いに正座で向かい合って座り、お弟子さんが師範の手首を思いきり掴みました。

先生が技をかけるとお弟子さんはうめき声をあげながら、金縛りになったように動けなくなり次の瞬間には畳に背中を付けていました。

それでは終わらず、なんと倒されたお弟子さんが床にあおむけの状態で、つま先立ちで背中をのけぞらせて動けずにいるのです。

お弟子さんによっては、先生が手を放してもまだ動けずに固まったままになっている方もいました。

その様子を見て完全に疑ってかかりました。

もし仮に筋肉の反射が起きて背中がのけぞったり動けなくなるかもしれないが、手を放しても技をかけられた側が5秒ほど動けなくなるわけがないと。

間違いなく弟子が感化されて、一種の催眠状態や自己暗示、洗脳になり、そうなるものだという意識が植え付けられて起きている現象であると。

何か質問がありますかと聞かれたので、技を受けてみたいと申し出ると快諾してくれました。

私を含めて見学者は3人いたので一人ずつ体験させてもらうと、一人の方には最初の技はかからなかったのですが、二回目からは上手く崩されて地面を転がっていました。

その様子を見て本当にかかっているのか疑問でした。

猜疑心の塊でしかありませんでした。

自分の番になったら確かめられるからワクワクして自分の順番を待っていました。

二番目の私の順番になりました。

本当に動画のように固まったり転がったりするのかどうかワクワクしながら技を受けてみると、何一つかかりません。

とても残念な気持ちになりました。

大東流合気柔術には何十年も思いを馳せていたのに、幻想のように崩れてしまったからです。

先生は「力強いなぁ~」と言いながら技をかけようとしますが、数センチもしくは20センチほど体制が傾いたり前かがみになるものの一向に技は掛かりませんでした。

先生が技をかけようとして私が力むと先生も、「あ、これでは力任せになってるから良くない」とご自身の技が私にかからないことを素直に認めておられました。

技がかかるかからないかも大事ですが、人の上に立つ立場として素直に技がかからないのを認めるのは流石だと自然に尊敬の念が湧きました。

で、いくつかの技をかけられてもかからないので、お弟子さんたちも師範の技が私の技がかからないのを遠巻きに見ているのが分かりました。

私としては、実際にはかからない物の技を一生懸命習っている気分はどうなのかという気持ちでした。

そして、残念ながら私に技がかからないのを私のせいにされました。

有段者である他のお弟子さんに稽古をつけておられた高弟と思われる方がこちらにきて、先生の技がかからないのは私のせいだという話になったのです。

技がかからないのはいくつのかの理由があり

1 関節に力を入れて固めるだったか、何しろ関節は相当な力があるから、私のような力の入れ方や踏ん張り方をされたら技はかからない

このご意見に対して私は内緒で、合気、中心帰納、抜き、腰の回り、仙骨を入れるなど言語化はそれぞれありますが、特殊な体と意識の使い方をしていたので、師範の技がかからなかったのは理解はできます。

しかし実戦や喧嘩の時に持ち方が悪いから技がかからないとか、素人に技がかからなかった時にそんな言い訳はできないと反論しました。

そしたら次に返ってきた答えは

2 合気は鍛錬のための方法だから、実戦の時には使われない実際には刀で切って終わりだと申されていました。

これに対して武田惣角は実践でも強かったはずだと伝えると、実際は武田惣角は合気を使わず刀をつかっていたとか、本当かどうかわからないという返答が返ってきました。

これはこの高弟の方が無知でして、合気は剣を用いる時にもかけたり、徒手以外にも使い道があるのを知らないから言っておられるのだと判断して会話をやめました。

改めて先生に、実は自分は特殊な身体の使い方や意識で技を受けていたから、上手く先生の技がかからなかったのだと説明しました。

そして今度はただ力任せに腕を持たせてくださいと申し出ると、快諾して頂けました。

力任せに腕をつかんで技をかけてもらうと、やはりうめき声や金縛りのように身体が固まることは一切ありませんでしたが、見事に上手に崩されて転がされました。

この光景を見て、それまで遠巻きに先生の技が掛からない状態を、不安げに見ていた弟子たちも、通常の稽古に戻りました。

真実はこちらが力任せに相手を掴めば、先生の技はかかるけども、こっちもこっちで技がかからないように持つと、技はかからなくなるという事です。

つまり技をかける方の腕前と技をかけられる方の技の掛け合いで、技をかける方が上手ければ技は決まるけど、技をかけられる方が上手ければ技はかからないのです。

周りの稽古をしていた弟子たちが、一切技をかけられない状態の先生と私を見て困惑していたのはなんか不思議な光景でした。

やっぱり弟子が忖度をしているわけではないが、刷り込みのように技をかけられたら、らうめき声を出す、投げられて仰向けに倒れた時は背中を沿って身を固める受け身の取り方になっていくのが、良い受け身だという風に錯覚しているのだろうと思います。

この記事をご本人たちが見れば私の事だとすぐわかる話です。

でも技がかからなかったのは事実なので問題はありません。

ちなみに私以外の二人に話を聞いたところ、一人は忖度したとのこと。

一人は全くかかっていませんでした。

だから素直な人にはかかるけど、抵抗したら掛からないってことです。

僕が受けた他の先生は抵抗しても技をかけてくれる先生は普通にいます。

抵抗してもかかる技のできる先生の方が上手いから、上手くなりたい人は、技の上手い先生が良いかなという所です。

でも、あの先生の人柄に触れると、一緒に稽古したいなって思わされてしまう、とても物腰が柔らかい気さくな先生でした。