今はもう意味を知るどころか、体現できる人も少なくなってきている半身の構え
半身の構えというと、片足を前に出して片方の肩を前に出した状態を想像する人が大半ですが、それは見た目、形だけの話。
見た目だけではない、体感できる半身とは片側に重心・軸がある状態を指します。
合気道における半身の構えの効果とメリット
半身になると重心が安定するので、技をかける際に、少ない力で済むので、楽に相手を崩したり、技をかける事ができます。
なぜなら相手が軸のない、重心が不安定な状態、居着いているなら、力を出しても出し切れないからです。
逆にこちらは軸のある状態、安定している状態、浮き身では、力がスムーズに相手に伝わるため崩しやすい有利な状態を作れます。
この半身ができると、効率よく動けるので、足さばき、手さばき、体さばきで技をかける事ができます。
なぜ「やらせ」に見えるのか?初心者が誤解する理由
この稽古をして身に着けられる体術を会得した動作を、合気道初心者や何も知らない人から見ていると、まるでわざとやられているように見えます。
分かる人はわかるけど、わからない人には、わからない、つまりやらせに見えるのです。
これが本当にうまい人が合気道をしている場合に、やらせだと勘違いしてしまう理由の一つでもあります。
ただし、やらせの合気道も本当にあるのが残念なところです。
私は9割は、やらせや忖度の合気道が蔓延っているという風に見えるので、知らない人から見ても、やらせだと思うのは仕方がないです。
話を戻すと、半身とは見た目の構えで終わらず、体の使い方が変化して、崩しや技に影響させる技術、方法、つまり体術だという事です。
半身が失われた現代合気道と、その問題点
この半身の技術の重要性や価値がわからないために、いまでは半身や構えは形だけとされて、合気道では構えの稽古は失われています。
そのかわりに、足さばきや手さばきを重要視した稽古が一般的・主流になっています。
でも半身の意味も分からず教えているので、ただ決められた足運びをするという単純な動作を繰り返す練習でしかありません。
現実は半身などの体使いが変化していない状態で、足さばきや手さばきを行っても無意味に等しいからです。
技の形を覚えることをゴールにしている方は満足でしょう。
しかし質を高めたい、合気道の達人のような技をいつかやってみたい方には足りません。
半身から始まる本物?の合気道の上達法とは
半身ができて、体軸・重心・力まない体の使い方、脱力・力の出し方が理解できた上で、足さばきを学ばないと体使いが変わらないからです。
半身や軸、重心の意味も分からない、できない状態での稽古は数をこなしているだけで上達はしません。
そればかりか、後述しますが、そのあとの段階の意味も理解も非常に深まりにくいです。
逆に半身の構えの意味が分かるとその後の稽古の意味や質が変わります。
浮き身、遠山の目付、脱力、体軸、果ては合気といった段階まで質を高める方向に稽古の質が変わってきます。
空手でいうところの、正拳突きを何回打ったところで、形は覚えど、質に限界が来るのと同じです。
年を取ってきて、筋肉や反射神経の衰えを感じて、年齢に比例しない技術である合気や達人の技に興味抱き、入門される方がいるのはこういう事です。
合気道上達の順序と構えの重要性
そもそも、相手と対峙したときの順序として、
- 構え (浮き身、遠山の目付、脱力、体軸、果ては合気といった意識の術)
- 間合いが間違えては捌きが成立しない
- 捌きができないと崩せない
- 崩しができないと技を掛けられない
- 技を掛けられないと残身はできない
- 残身にたどり着けない
となります。
体力と筋力・スピード、タイミングに頼れば、強引に技はかかるでしょうが、対格差や年齢勝負の相手となると適わない時期が誰にも訪れます。
体力や年齢に影響をされにくい技において、上記の順序一つ欠けても成立しないのです。
極端な話をすると最初の構えができないのでは、次の段階には行けないという事です。
ゆえにこの半身の構えがおろそかになるので、一般的な合気道によくある、ただひたすら技を繰り返し受け身を取る稽古をされる方の技も、崩しも上手くならないのです。
つまり、合気道が上手くなりたければ、基本の構えから稽古する必要があるという事です。
残念ながら半身の構えの意味、何がどう変わるか手取り足とり教えられる人も非常に少ないので、いずれ失伝してしまうのかもしれません。
基本の構え、半身をもう一度見直してみませんか?切実