合気会で多くの指導者が唱えている結びの稽古の内容が間違えているので声を大にして言いたい。
合気道では昔から手を持たせる・または取らせるという表現をします。
この一言で済む話なのですが、伝わらない方もいらっしゃると思うのでご説明します。
偉い人が言ってる、本部の師範が言ってるとかはどうでもいいです。
そういう理屈なら、合気道の神様が言ってることが正解ですから。
大事なのは誰が言ってるではなく、何を言っているかという事。
結びの稽古とは
正解
本来は技をかける側が、技を受ける側の手を切らさないように、うまく技をかけろという意味です。
塩田剛三先生の技や、合気会にもおられる合気の達人に技を掛けられた相手は、バランスを崩されて技をかけた人の手を離せない状態になります。
塩田剛三先生やそのほかの達人の方も、説明されています。
技を掛けられている側が、手を放したくても放せない状態にさせられてしまう。
これが結びです。
合気などの不思議な技をできる人に触れた、その一瞬でバランスを崩されてしまい、手を放すどころか自分の態勢を保つのに必死です。
触れている手が電車のつり革のように支えになるので、握った手を放すという状態にはなりません。
つまり、結びの稽古は、取り(技をかける側)の稽古であって、受け(技を受ける側)の稽古ではないのです。
間違い
いつの頃からか、取りの技が失敗しないように、受けが取りの手首をずっと握ってあげましょうという風に変わってしまった。
受けが取りの手を離したら、取りに殴られるから話したらダメという話が出てきたが、これも明らかに矛盾している理屈です。
先ほどもお伝えした通り、技が決まれば手を放す余裕もないまま崩れたり、倒されたり、固められて身動きできなくされてしまうから、そもそも反撃ができないので、手を放すどころではないのです。
合気道の稽古の質は実力によって上がっていく
ただし、合気道の初心者や白帯のうちは、手を離れないように、技を受ける相手に手を持っていもらっていてかまいません。
初めのうちはそうやって技を覚えていくので、意識的に技を受ける方が意識して技を掛ける側についていくのは必要です。
でも、いつまでもついてきてもらったり、手を握ってもらう稽古をしていたのでは、合気道の上達は止まります。
なぜなら、有段者や高段者になると、いかに相手に握られた手が切れず、相手と自分の接点が途切れないように、上手く技をかけるかが稽古の課題になってくるからです。
ですから、ある段階を超えた時点、(技や崩しを一通り覚えたり等)で、優しく握ってもらっていた手は、実力に合わせて強く持ってもらったり、抑え込んでもらったりといった風に実践的になっていきます。
間違った指導が合気道の上達を妨げる理由
しかし、技を受ける側が、技をかける側の取りの手をしっかり握り続けては、取りは本来の結びの稽古ができないのです。
親切丁寧バカの一つ覚えみたいに手をにぎってもらっていては、本当に技が効いているのか、判別を付けられないからです。
このように合気道が上達してくると、稽古の質も変わってくるので、いつまでも技を受ける側に手を持ってもらうというのは、マイナス要素になってくるのです。
つまり結びの稽古だと言って、いつまでもわざと受け身を取り続ける指導は、稽古の質を上げたり合気道の上達とは真逆の教えなのです。
べつに自分は高段者になっても、ずっと初心者と同じ稽古していたいという、風変わりな人はそのままでも良いです。
しかし、たいていの人は、どうせ続けるなら合気道が上達したいと思っているはずですから、いつまでも手を握る続ける稽古は早く卒業できたほうがいいのです。
受けに結びの稽古を意識しなさいという指導
相手のバランスを一瞬で崩して、相手が手を放したくても放せない状態にできる人なら、今回のように明らかに矛盾した結びの稽古の説明をする必要がありません。
初心者に言うのは分かりますが、黒帯や有段者相手になら、指導者は手を離せない状態になる技を弟子に実践して、こういう技(手を放したくても放せいない状態になる)をやりなさいの一言で済む話だからです。
わざわざ「手を離すな、わざと受け身を取れ、これが結びの稽古です！」と説明する必要はないのです。
達人級の技が出来なくても、凄く簡単な事を言うと、受けが手を放したくなるような、下手な技をやらなければいいだけの話でしょ？
こうなるとどう考えも、「受け身を取る人は技をかける人の手を握り続けてあげてね、結びの稽古！」っておかしくないですか？
技は実践できないけど、結びの稽古やれでは、理屈が通りません。
初心者から脱しようとしている人にも、「上達してきたから、手が切れないような工夫・練習をしましょう」と稽古の質を上げる指導すればよいのです。
結びの稽古をして得をするのは、未熟な先輩や有段者だけ
弟子や後輩がずっと手を持ってくれていると、技をかける先輩や高段者は上手に技をかけてるように見えます。
そして途中で技が途切れることもない、技を受ける側も上手に受け身を取ってくれるという好都合がおきます。
- 本当の実力以上の合気道の技ができる(錯覚・勘違い)
- 見栄えも良くなる
- 演武会で恥をかくこともない
- カッコつけられる
のでいいこと尽くしです。
でも、受け身を取る方は
- 本来効いてもない技に
- 自ら掛かりにいき
- 受け身を取る必要のない技の受け身を取る
ことになります。
これって本当に結びの稽古なんでしょうか？
どちらのためにもなるのでしょうか？
私は、どちらのためにもならないと思います。
結びの稽古の本質を理解して、上達するために必要なこと
技をかける側が、相手を「離せない状態」にできるようになること。
出来もしない目茶苦茶難しい事を言ってしまいまいた汗
