合気道は「やらせ」はあるの?経験者が実状を解説します

合気道歴15年以上有段者の私がお答えします。

合気道で本当にやらせはあるかないのか?に対する答えですが、やらせは本当にあります。

それは、合気道の稽古方法にも由来する事ですが、合気道の神様と称えられる塩田剛三先生のように、やらせではなく柔よく剛を制す、合気と言われるような本当に神がかりの達人技が出来る合気道家もいます。

つまりどっちも本当です。

しかし、本当にすごい合気道の達人の技を見ても、頭ごなしにやらせだと感じる人もいます。

同じ様に達人のような技が出来ている方や、他流などの経験者、また合気道未経験でも目が肥えている人は、見ただけである程度、本物が偽物か、やらせかやらせじゃないか判別できます。

つまり合気道はやらせなのかやらせじゃないのかは、合気道を行う側と、合気道を見る側によって変わるという事です。

合気道でやらせが起こる場合を紹介します。

合気道でやらせが起こる場合

演武会のやらせ

先生に忖度?気遣い?

弟子が師匠に忖度、気を使って受け身を取っている場合があります。

やらせというか忖度というのでしょうか。

弟子が師匠に気を使って受け身を取っているのを、師匠が知らない場合もあります。

本当かよ…と思う方もいるでしょうが、あるんです。実際に。

弟子が役割を勘違い

演武会で先生の技の受け身を取る弟子が、先生が主役で自分は脇役という事を忘れて、派手に受け身を取っている場面をよく見ます。

それが逆に先生の技の良さを殺してしまう、良さを奪うもあるのですが、先生の受け身を取る程の稽古を積んでも分からない弟子も一定数いるのです。

演武が演舞?になってしまい、やらせとみられてしまうことがあります。

余談

本来は先生の実力を信じで、稽古だろうと演武会だろうが、本気で技を受けに行く姿勢が大事ですが、今の世の中ではほとんど失われています。

つまり、弟子側だけではなく、指導者の実力も落ちているという事です。

こうなると、弟子も手加減しないと指導者の技も決まらない、やらせが必要になるという事です。

以前私が指示していた先生は演武会の時に、真剣を用いて演武を行っていました。

真剣を使って演武や稽古する際に忖度すると間合いや力加減がずれて、逆に怪我をしやすくなるので、本気で切りかからせて技を行っていました。

やらせばかりではないですが、やらせが横行しているのは事実です。

稽古のやらせ

1.まだ技を覚えていない初心者のために、上級者が先回りして動く

これは厳密にはやらせではないですが、合気道の稽古の紹介にもなるので、ご説明しておきます。

合気道の技は足と手を同時に動かすなど、普段しない動作をするために、覚えるまでに多少時間がかかる事があります。

そこで初心者が技をかける時に、初心者が技を覚えやすくしてあげる為に、高段者が少し先回りして動き誘導することがあります。

相手の技に素直にかかってあげないと練習になりませんよね?

もし、相手の技に抵抗するなら、それは、柔道でいう乱取り、試合形式の練習になってしまいます。

技の型を覚えたり、技を稽古をするためには、必然的に協力するため、やらせの様な動きが必要になります。

2.技をかけられている方が、技をかけている側の力の流れを先読みして、受け身を取りに行く

これについては、初心者を導くために高段者が受け身と取るのとは意味が違ってきます。

合気道の一般的な技で四方投げと言う技があります。

この四方投げは、技をかけられている方が受け身を取らず、その場でじっと立っていると腕を脱臼します。

稽古の中で危険な投げ方をされると地面に後頭部を打ち付けられます。

(本来、合気道は武道なので頭から落としてあげたり、怪我を負わせるのが正しい投げ方)

しかし、怪我をさせないしないために技を掛けられ受け身を取る方が、自ら相手の技に動きを合わせて受け身を取る必要があるのです。

受け身とは投げられた時に、自分がケガをしないために、相手の技を殺すために自ら動くことも含まれます。

この一連の流れがやらせと思われることがあります。

3.催眠にかかってしまう人のケース

技をかける側が殆ど力を入れてなくても、技にかかった気持ちになって、自ら受け身を取ってしまう人がいます。

つまり、一種の催眠や暗示にかかってしまう人がいるのです。

このケースは格闘技や武道を経験したことない初心者や未経験者が当てはまります。

少しよろける、体勢を崩されたり、力を入れられた程度で、自ら受け身を取る人がいます。

怪我するのが怖い、力をかけられるのが怖い、 実践や試合ではどれくらいの力が自分にかかったり、全力で抵抗したらどうなるかを経験したことがない人たちです。

こういう人は経験がないために、こういう物だというイメージや実感のみで、客観性に欠けるために、自らやられに行く、つまり受け身を取るのです。

そうすると、技をかける側が、ほぼ力を入れず技の型をやっただけでも、ちゃんと受け身を取ってくれます。

これはやらせとみられても当然です。

受け身を取る側が意識せずとも自ら進んで受け身を取ればそれはもうやられにいってますから、やらせと言われても何ら不思議ではありません。

あくまで実体験ですが、この悪習に気が付かないままに、何年も稽古を続ける人の確率は9割以上です。

そして、この人たちが指導者になると、技を受ける側に強く持つな、我慢されたら技は決まらないから、受け身を自ら率先して取りに行けと、指導をよく見ます。

その教えを受けて、やられに行く受け身を覚えてしまう人が、物凄く増えています。

合気道の闇、合気道弱体化の根幹が垣間見えます。

本来受け身とは、相手の技を凌いで殺したり、返し技がいつでもできる体制をつくる、次の攻撃が来たらすぐ反撃できる体制を整えたりといった意味が含まれます。

しかし、今の合気道はいかに見た目が綺麗?な姿勢をとるかに重点が置かれすぎて、受け身の本当い意味が消えているように感じます。

黒岩洋志雄先生からお聞きした実話

合気道が始まって間もない頃、内弟子でどうやったら植芝盛平の受け身が派手に見えるか、内弟子同士で考えたそうです。

弟子たちが、自分で派手に受け身を取っているということを、15年くらい前に直接、同稽古の時などに、毎回おっしゃっていました。

だから、未だに、自分は段位が上がらないんだなんてことを冗談交じりにおっしゃられていました。

ということで、合気道にやらせはあります。

でも、やらせじゃない技も本当にあります。

以上、合気道はやらせなのかやらせじゃないのか?についてでした。