合気道を始めた頃の熱意と本気の稽古
いまより数十年前、合気道を始めたての頃、高段者の先輩に色々話を聞かせてもらっていました。
昔は今より稽古がきつかった、先生に本気で掴みかかっても、簡単に投げられてしまったなどという、夢あふれる話を。
倒された後に指一本で抑えられて身動きが取れなくなったなど、普通では考えられない話をしてもらって、胸が躍るというのだろうか。
そんな話を聞かされているし、本気で合気道の達人を目指していて、社会人で週5回稽古に行っていました。
目標は合気道を始めたきっかけの、合気道の神様と言われる、憧れの塩田剛三先生のような技が出来るようになることでした。
今はなんてこと言ってんだと思うけど、当時は本気でした。
で、もちろん本人真面目に稽古しているので、正面うちは片手取りなどは、本気で打ちにいくし、掴みに行く。
掴んだら離さないし、正面打ちで打つ時も相手の手にこちらの打つ手が触れても、力は抜かない。
そんなガチの受けみをしていたのです。
受け身が固い?と注意されて気づいたこと
そんなガチの受け身で稽古をしていると、先輩方受け(受け身)かたいと怪我をしやすく危ないから、柔らかくしろと良く教えてくれました。
受け身が上手くなれば合気道の技も上手くなると、常々受け身の大切さを説かれていました。
でも、何がどう自分の受け身が固いのか分かりませんでした。
受け身を取る速さも決して遅くないし、四方投げの飛び受け身だって普通にできていました。
受け身で困ることはなかったからです。
でも指摘されるという事は何かが欠けているから言われるわけで、身体がかたいから?受け身を取った時の姿勢や見た目が良くないのか?など考えていたのです。
色々考えていて、相手が技をやりやすいように動いてみると、そうだ、それでいい、受け身が上手くなったと言ってもらえたのです。
当時はダメ出しされていた受け身を認めてもらえた気がして喜びました。
取り(技をかける人)の技や動きに合わせて、受け身を取ると、柔らかく良い受け身とされていたのです。
それはもう柔らかい受け身を心がけました。
合気道のことが分からない自分は、相手の技に素直に掛かって受け身を取ることで、合気道が上達するものだと勘違いしていたのもありました。
結局受け身がかたいと酷評されていた理由は、ただ単に、こちらが本気で掴んだり、打つと、相手が技を掛けにくいから、(相手が技をかけやすいように)だめだしされていただけの話です。
技を掛ける側の責任と、忖度される合気道
技を掛けられる側が技をかける側に合わせるのって、やらせや忖度以外の何物でもないと思います。
後輩に先輩が自分の技がかけやすいように受け身を取れとは、どういう事でしょう?
初心者や後輩がおもわず受け身を取ってしまう上手な技を、高段者や先輩方が掛けるのが、本来ある姿ではないでしょうか?
冒頭にご説明した昔の稽古話のごとく、本気で掴みかかっても投げられていたように、上達して今度は我々後輩を思うがまま投げるのが、筋のはずです。
合気道の技を本当に上達させるために必要なこと
実際どうなのかというと、合気道の受け身が上手くなっても合気道の技は上手くならないことは経験から分かりました。
受け身が上手くなったところで、合気道の達人のような技が出来るようには一生ならないし、上達もしません。
初心者に合わせて合わせて受け身を取ってあげたり自分がケガをしないように受け身を取ることは大事です。
合気道の受け身が上手くなると、何故合気道が上手くなるのか、論理的に説明できる人がいるなら教えてほしいです。
柔らかい受け身を取れ、とういのは先輩が気持ち良く稽古が出来るだけであって、先輩自身のためにもなりません。
なぜなら、本当は全く効いてない威力のない技を効いていると勘違いさせてしまうからです。
そもそも黒帯同士なら受け身はとるものではなく、取らされるもの。
技が効くから、怪我を避けるために、受け身を取るのであって、相手の技にわざわざかかりに行くために受け身を取るものではないはずです。
柔道や柔術などの組み討ちも、自然体で技を受ける型稽古の相手を務めることはあります。
しかし、技が掛かりやすいようにわざと受け身を取るなんて聞いたことがありません。
ていうか、むしろそれをやられると手ごたえが消えるので迷惑・邪魔です。
初心者が学ぶときならまだしも経験者同士で、わざとやられてあげるなんてあり得るのでしょうか?
乱取りや試合形式でもない限り、経験者なら掴んでいるだけで無抵抗の相手に技を掛けられて当たり前のはずです。
他武道や格闘技を踏まえて考えると、昨今の合気道がいかに軟弱で、忖度が強いられるもはや武道?なのか、ご理解いただけると思います。
受け身のメリット
合気道の受け身が上手くなると得られるメリットは何があるかというと、
1 ケガをする確率が下がる
受け身はケガを防ぐ効果もあるので、当然ついてくる産物です。
2 見た目がきれいになる
余裕があると体制が崩れにくくなるので、見栄えが良くなります。
3 演武会で先生の受け身をとれる可能性が上がる
先生は受け身が下手な人は、演武会に使わないので、うまくなれば演武会の時に受けで使ってもらえます。
4 心に余裕を持ち、怖がらずに相手の技を受けられる
心に余裕があると技を掛けられている最中に、相手がどんなふうに技をやっているのか把握することができます。
このくらいではないでしょうか?
合気道が上手くなる要素あります?しいていうなら4番目が上手くなる可能性がありますが、かかったことがある人はご存じでしょうが、本当にうまい人の技は何をされているのか感じ取れません。
なので、合気道の受け身が上手くなっても、合気道の技が受け身で自然と上達するわけではないのです。
上級者として後輩に求める本気の稽古姿勢
自分の経験が増えて、稽古相手に求めることは、受け身を取る時にちょっとよろけたからと、力を抜いてくれるなと思います。
正面打ちや横面打ちなども本気であたる距離で思いきり打ってほしいとも思います。
じゃないと自分の技が本当に効いているのか分からないからです。
相手が手を抜いていて、すぐに倒れたり崩されたりしては、手ごたえもなく技の掛かりが分かりません。
色んな事が分かってきた今は、上手く技が掛からないのは100%こちらの責任であり相手にはないという稽古しています。
自分の技が未熟なのを相手の受け身のせいにしない人間で、いつまでもいたいです。